2016夏 海士町ゼミ合宿
- raisemnar
- 2016年8月13日
- 読了時間: 9分
8月5日~8月7日まで、島根県隠岐の海士町でゼミ合宿を行いました。海士町は地方創生のため、町の人たちが総出で地域の活性化に取り組んでいます。町の特徴を活かした生産物や地域の人たちの取り組みから、地方創生には欠かせないことは何かを学んでいきました。
海士町へ行くには島根県の七類港から、フェリーで約3時間かかります。フェリーから見える海の景色はとてもきれいでした。みんな写真を撮ることに必死でした!
海士町での宿泊先は但馬屋さんにお世話になりました。おばあちゃんの家のような雰囲気で、宿の人たちがとても親切でした。食事は新鮮な魚や手作りの野菜などを出していただきました。
【合宿1日目】
・海士町長の話 ないものはない~離島からの挑戦
山内町長は、まずみんなで危機意識を共有することが地域創生のポイントであるとおっしゃっていました。海士町では、超過疎化・超少子高齢化・超財政悪化といった問題を逆転の発想によって、これら3つの問題は日本全体の将来の姿であるので、「ある意味で最先端」というふうに捉えていました。地方創生は、発想の転換と実績の内なる闘いであり、人口減少時代だからこそコミュニティの自治と連携の力が大切であるとしています。究極は、地域でいかに人材を育て、その人材を地域に根付かせるかであります。そして、「ひと」こそ地方創生の要であり、若者・よそ者・馬鹿者がいれば地域は動き出します。それには、3つの「気」元気(健康)・やる気(志)・本気(決断)が大切で、最後本気度(覚悟)がその地域の未来を決めるとおっしゃっていました。(伊藤)

・隠岐國学習センター所長豊田庄吾さんの話
島のIターン者である豊田さんは生徒数の減少により廃校寸前だった海士町にある島前高校の魅力化プロジェクトの担い手となった方です。豊田さんは、「人口減少と教育をどう考えるか」をテーマにし、島前高校の魅力化プロジェクトにおける教育の目的についてお話しくださいました。島前高校の廃校は、島のさらなる人口減少を意味する大きな問題でした。廃校を免れるための選択肢はもちろん生徒数を増やすこと。そして生徒を増やすためには魅力的な高校を作らなければなりません。その魅力化を実現するために必要なのは教育の充実化です。高校生の教育環境を充実させるために、島前高校と手を組んだ公立の学習センターを設立し、紆余曲折を経た後見事魅力化を実現。生徒数も増え、現在は多くの島留学生も受け入れている状態だそうです。魅力化プロジェクトによって改革された教育はどのようなものだったのか。重要なポイントは、地域の担い手・グローバル人材をどう育てるかであり、島を支える”人づくり”や三方よしのビジョン策定、そして幸福度を高める成長や教育を図ることでした。これらの「田舎センス」と呼ばれる考え方は、都会での短期的成、右上がり成長を期待する考え方とは異なり、しばしばグローバル化現象を問う賴ゼミ生にとって良い刺激になったと思います。(吉川)
・ビアガーデン
8月5日と8月6日にかけて、ビアガーデンのお手伝いをさせていただきました。町の港にある、キンニャモンニャセンターにて、音楽のステージと共にお酒とご飯を提供しました!来る人来る人、みんなが顔見知りで、世代関係なく仲良くしているところを見て、島の人々の強いつながりを感じました。他県から来た私たちを温かく迎え入れてくださってとても感謝しています。ちょっとしたハプニングもありましたが、楽しく島の人たちと交流できたとても良い時間でした。(坂本)
【合宿2日目】
この日は、朝起きて但馬屋さんが作ってくださったおいしい朝食、自分たちで釣った魚をいただいてから、隠岐國学習センター、牡蠣工場、塩工場、そして役場で飯古建設田仲社長からお話を伺い、隠岐牛の牛舎見学をしました。夜には一日目と同様、ビアガーデン手伝い、アジ釣りに分かれて活動しました。
・隠岐國学習センター
この学習センターは島唯一の塾です。しかし、塾といっても私たちがイメージしている民間企業の塾とは違い、この学習センターは公的な施設です。外観も古民家をリノベーションしたとあって趣があります。この学習センター最大の魅力は、ただ勉強するだけの施設ではなく、地域の人とも交流を図れることだと思います。学習センターに入るとすぐに土間のようなスペースがあり、そこは塾生以外の人でも自由に利用できる場所です。また、学習センターの奥に進むと松家塾をお手本にしたという畳の部屋があります。そこでは、しばしば塾生と地域の方々が議論する場所として設けられていて、さながら現代版寺子屋のような雰囲気でした。学習センターを見学して学んだことは、ただ授業を行うだけの施設とは違い、地域の人との交流を通して、教科書の字面だけでは分からないことも学べる環境が整っているということです。加えて、大学のゼミのような学びの場もあり、能動的に学ぶ意義を早いうちから見いだせる環境だということも分かりました。(表)
・海士御塩司所 海士いわがき生産
海士町では、その地域の特性を生かした商品が域内外で販売されています。その中でも、塩と岩牡蠣は海士町の資源である海を生かしたものです。私たちは、実際に塩と牡蠣の工場へ見学をしました。塩を作るには、ろ過とせんごう作業を経て、天日干しという流れが必要でとても手間ひまかけて生産されていることが分かりました。この海士の塩はホテルや直売所で販売されています。岩牡蠣は「春香」と名付けられていて、海士のブランド牡蠣として生産されています。私たちも実際に、この海士の岩牡蠣を食べてみましたが、新鮮でとても美味しかったです!海士町の塩や岩牡蠣は、海士町の地域資源である海を上手く活用し、これらの商品に付加価値をつけて販売することに成功したのだと分かりました。工場見学を通して、地域資源を活用した商品を開発することで、その地域のアピールポイントを作り出せるということが発見できました。(岡島)
・飯古建田仲社長のお話
有限会社潮風ファーム代表の田仲社長に、なぜ地元の建設会社が新しい産業に進出していくに至ったのか、隠岐牛の畜産のこれまでの経緯とこれからの展望についてお話を伺いました。もともとは、地元の建設業を担う飯古建設会社が新規事業として始めたのが、黒毛和牛生産を中心とする畜産業であり、今では東京食肉市場にも出荷され、高い評価を受けています。地元の建設業から新規授業として畜産業に進出することは一見非常に困難なことではありますが、社長自身の地元への強い思いと地元の人々の協力が、これらを可能にしてきたのではないかと感じました。建設業での地元の支えをこれからは自分たちの地域に還元し、活性化させたいという思い、どんな形であれ社長を必ず守るという社員の強い思いは畜産業におけるこれまでの成果に大きく結びついていると考えられます。また、地元の畜産農家と協力し、一頭一頭に配慮した牛舎と肥育、徹底した安全管理が質の高いブランド牛に繋がっていると大いに感じました。隠岐牛の有名化に伴い、ますますIターン者が増え、彼らの能力やアイデアと地元の力の結びつきはさらなる畜産業の発展の可能性を秘めています。その先陣をきっていくのが隠岐牛であり、今後の発展に大いに期待したいです。(飯村)
・飯古リサイクルプラント 隠岐牛肥育牛舎見学
田仲社長のお話を伺った後、社長に案内していただき、飯古建設リサイクルプラントと、隠岐牛肥育牛舎の見学をしました。木廃材と牛糞を原料としてたい肥を作っていて、循環型農業を目指しています。木廃材と牛糞が混ざったものがたくさん積まれており、発酵されていました。発酵中は、温度が高温になるため、湯気が出るそうです。大きな木材を取り除いたたい肥は、完成品としてまた農地で使われます。牛舎には、メス牛が肥育されていました。ほとんどが生後1年から2年の牛で、それぞれに人のような名前が付けられていたのがとても印象的でした。見学中も、人の靴をなめたりと、人懐っこい牛が多かったです。ここの牛糞も、たい肥に使われます。(猪飼)
・アジ釣り
1日目、2日目と行ったアジ釣りについてです。アジ釣りは夕飯をとった後、夜の8時ごろから宿の近くにある漁船がとまっている堤防で行いました。辺りは電灯もなく閑静で、海を見下ろしても真っ暗でした。しかし、明るい昼間には、底まで見える透明度の高い海に魚が沢山見え、海士町の海の綺麗さが伝わります。実際にアジ釣り体験は素晴らしいものとなりました。ゼミ生全員が1匹以上のアジを釣ることができ、中にはフグを数匹、また立派なエイを釣ってしまう学生もいました。エイは海に返しましたが、釣ったアジやフグは宿に持って帰り、女将さんが調理して次の日の朝ご飯となって出てきました。アジはなめろうや南蛮漬け、フグは刺身や唐揚げとしていただくことができました。自分たちで釣った魚が美味しいお料理になって出てくることは感慨深く、楽しくて思い出に残る体験となりました。(羽毛田)
【合宿3日目】
合宿最終日は海中展望船あまんぼう、定期船、そして西ノ島の観光バスに乗って海士&西ノ島の素晴らしい自然を巡る日となりました!
・海中展望船あまんぼう 定期船
海底で魚と一緒に泳いでいる気分になる、それが海中展望船です。海中展望船あまんぼうは海士の玄関口の菱浦港を出港して、3つの岩が仲良く横に並んでいる三郎岩を通り過ぎます。その後、乗客は船底にある海中展望室へ移動します。海中展望室に入ると、船の上からエサがまかれるので、それを目当てにたくさんの魚が船を追いかけてきます。海士の海は透き通っているので、海底までくっきり見えます。真上から泳いでいる魚を観察するのはこの展望船ならではの眺めであり、リアルアンダーザシーでした。定期観光船は菱浦港から西ノ島の浦郷港までを結んでおり、今回の合宿1番興奮するアクティビティでした!海の上を船で疾走するのは快感。海の風がとても涼しかったです。途中で観られる「摩天崖」はまさに断崖絶壁。火曜サスペンスに出てきそうです。この後、観光バスで崖の上からも「摩天崖」を見ましたが、船上から見上げる方が迫力がありました。この日、私たちは運よく船に乗ったまま「明暗の岩屋」と呼ばれる洞窟の中に入ることができました。波が穏やかな日でないと危険なため、普段は入れないそうです。船がぎりぎり通れるスペースの真っ暗な洞窟の中を進みます。船長さんの操船技術に驚きました。(関口)
・観光バス
観光バスでは約2時間バスに乗って西ノ島を一周しました。バスは解説付きでマップももらえるのでとても分かりやすかったです。西ノ島を象徴する摩天崖や赤尾展望所では、透き通る海と壮大な自然が広がる絶景を見ることができました。ここで撮った写真は最高です!笑 その他にも車道に馬が現れたり、大自然に牛がいたりなど自然あふれる西ノ島を堪能することができました!(笹原)

以上が私たち賴ゼミの2016年夏合宿の報告です。今回の海士町での学びをこれからの大学での自分たちの勉強に活かしていけるようゼミ生一同務めてまいります‼ 海士町、西ノ島の方々、島根大学の関先生、松岡さん、3日間本当にお世話になりました。ありがとうございました!!
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